時々、私はクレーンになる。
しかも、よくしゃべるクレーンに。
クレーンの操縦者は何人かいる。
私の手を取り、窓のカギを開けさせようとしたり、
蛇口をひねって水を出させようとする。
クレーン現象という、言語の代わりに行動で要求を達成するために、
発語前の子どもが、保護者や支援者の手を道具代わりに使う行動のことだ。
「窓開けたいの?」「鍵が固いね」
「外に出たい?」「開かない」「開いた」など、
子ども達の目を見ながら、気持ちを代弁したり、
状況を説明する。
クレーンを使う=代わりにやって=自分では簡単にできない。
要求がある上に、自分でできるかどうかがわかっているだけでもすごいなあと感心する。
他者を使ってでも達成したいことがある=他者を意識している。
クレーンとして私を選んでくれてありがとうという気持ちも湧いてくる。
全部、操縦者のいう通りにはならないけど、いっぱい話しかけてみる。
言葉と行動がつながるチャンスになるかもしれないから。
クレーンを使うときは間違いなくやりたいことが、そこにあるはずだから。